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演題

大会 第29回全国介護老人保健施設大会 埼玉
演題カテゴリ 101 入所 > 205 データのある比較・検討 > H3332 排泄 排泄の自立
演題名 おむつは嫌だ!!
副題 ICFから見えた排泄動作の変化と効果的な介入の考察
発表者 中山百美 1
所属機関 1 介護老人保健施設 いこいの森
発表の狙い
抄録要旨 平成29年1月~12月に新規入所した利用者を対象に、入所時と退所時の排泄動作についてICFステージングを用いて比較した。その上で、ケアプラン上どのような介入が効果的であったか検証した。
本文
【はじめに】
平成30年度介護報酬改定により、『排泄支援加算』が新設された。在宅復帰・在宅支援において、排泄動作の向上は非常に大きなウェイトを占めており、当施設でも以前から利用者の『排泄動作の向上』には当たり前のように取り組んでいた。今回の加算新設を受け、過去の排泄ケアの振り返りを行い、入所時と退所時での排泄動作の変化についてICFステージングを用いて比較した。そのうえで、ケアプラン上どのような介入が効果的であったかを検証したので報告する。
【目的】
過去の排泄ケアの評価を行い効果的な介入方法を検証することで、今後の在宅復帰・在宅支援に向けたより高度な排泄ケアの実践に繋げていく。
【方法】
1.平成29年1月~12月に当施設に新規入所後、平成30年4月までに退所した利用者40名を対象に、入所時と退所時の排泄動作についてICFステージングを用いて評価する。さらに、改善群、維持群、悪化群ではそれぞれの在宅復帰の割合に有意差がみられるのかを比較する。
2.改善群に対し、ケアプランを基にどのようなケアの提供を行ったかを抽出し、効果的な介入方法を検証する。
【結果】
1.全40件のうち、改善10件・維持27件であり、合計すると全体の92.5%を占めていることが分かった。在宅復帰率の比較では悪化群が33.3%(3件中1件)であったのに対し、改善群60.0%(10件中6件)、維持群70.3%(27件中19件)であり、改善、維持を合わせると65.2%となった。このことから、在宅生活を送る上で、排泄動作の安定は必要不可欠であると考えられる。
2.改善群10件のICFステージングの内訳をみると、
 2⇒3…3件  3⇒4…3件 3、4⇒5…4件であった。
それぞれのケアプランから介入方法を洗い出したところ、以下のような傾向がみられた。
全体をみると、改善群の全利用者に対して短期集中リハビリが行われていた。また、利用者が日常的にリハビリ出来るよう、介護職員が行うフロアリハビリや生活場面に即して行う生活リハビリ、利用者の空き時間に自主的に行ってもらう自主訓練といった項目が、それぞれの利用者に合わせ組み込まれていた。これらのリハビリ内容は、毎月のモニタリングや3ヶ月ごとのケアプラン評価のタイミングで実施状況や利用者の状態によって変更されており、その時点での最適な内容になっていた。
ステージごとに見ていくと、
2⇒3ではトイレでの排泄を目指し、フロアリハビリで立位・立位保持・座位での足踏み・膝の屈伸等を行い、生活リハビリではパジャマ⇔普段着への更衣・オムツ交換時の尻上げ・体交・起居動作・移乗動作を声掛けで促すようにして上下肢筋力の向上を目的とした内容が主であった。
また、3件中2件が、入所継続となり再度ケアプランを立案した際、歩行器での歩行訓練や伝い歩き等、更なる向上を目的としたフロアリハビリに変更されていた。日常的な関わりとして、尿便意はあるが下肢筋力の低下でトイレでの移乗が出来ない利用者に対して、職員2人対応で立位保持を促しながらトイレ誘導を行ったことでおむつが外せたケースもみられた。
3⇒4では、2⇒3のフロアリハビリの立位・立位保持の回数や時間を増やして実施。更に、歩行器や4点杖での歩行訓練を開始した利用者もいた。生活リハビリでは排泄時の回転動作やズボンの上げ下げを職員付添いのもと自力で行ってもらうよう促す等、より排泄動作の自立に繋がる内容であった。
3・4⇒5では、段差昇降訓練・立位のままで足踏み・伝い歩き・キャスター付き歩行器での歩行訓練・立位のまま踵上げ・両膝屈伸といった上記のフロアリハビリよりもステップアップした内容に変化していた。また、4件中3件で、ベッドサイドやベッドサイドトイレにバディ(生活機能支援手すり)を設置して、安定した排泄動作を目指すという内容が加えられていた。
【考察】
入所後、出来るだけ早期に専門職からのリハビリを開始する事で、利用者個々のより詳細なADL評価が出来、フロアリハビリや生活リハビリ、自主訓練等に繋げていけると考えられる。そして身体面への介入だけでなく、生活場面においての環境整備も排泄動作改善に大きく影響するのではないだろうか。また、ケアプランのモニタリングや評価を適宜行い、その時の利用者の状態に合わせて次の段階にステップアップする為の内容を盛り込んだケアプランを作成し、実施して行く事が必要である。これらは多職種協働で取り組んでいくが、利用者の生活に最も関わり身近な存在の介護職員が生活場面の中で最適な評価をし、ケアプランの再考をすることで、より利用者の自立に向けたケアの提供が可能になると考える。
【まとめ】
「いくつになっても排泄はトイレでしたい!」「人の手を借りずに自分でしたい!」と、利用者から聞かれており、口にせずとも思われている方はたくさんいると思う。そんな思いを少しでも実現出来るように、利用者お一人お一人に合わせたリハビリやケアを行っていく必要があると再確認出来た。一人でも多くの利用者が、在宅復帰の日を笑顔で迎えられるようにこれからも取り組んでいきたい。
    以上